桜高鉄道倶楽部れんらく帳

カテゴリ: 山田尚子

 映画「聲の形」が東京アニメアワードフェスティバル2017 アニメ オブ ザ イヤー作品賞 劇場映画部門グランプリを受賞したことを記念した舞台挨拶が新宿ピカデリーで行われました。

 2月1日の舞台挨拶から一ヶ月での舞台挨拶。今回は久し振りに山田尚子監督お一人でのお話しとなりました。

日時:2017年3月13日17:40回上映終了後
会場:新宿ピカデリー
登壇者:山田尚子(監督)
司会:松竹 向井
※敬称略
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 今までどおり、ほぼ自分のメモ用にですがトークショーの様子を纏めてみました。一部聴き逃しやメモ間違い微妙なニュアンスの違い等あるかもしれませんが雰囲気だけでも味わって貰えたら幸いです。

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司会:まずは挨拶をお願い致します。

山田:こんにちは。平日のお時間にありがとうございます。監督の山田です。

司会:今回は監督お一人ですが、楽しんでお話しして貰えたら。
さて、「東京アニメアワードフェスティバル2017 アニメ オブ ザ イヤー作品賞 劇場映画部門グランプリ」受賞されて、先程登壇されましたが如何でしたか?

山田:作品賞なので、スタッフと応援してくれたお客さんのおかげで賞を頂くことができました。

司会:登壇された時はそうとう緊張されたみたいですが。

山田:地を這うような低い声で話してしまいました。先に会場には来られなかった新海(誠)さんのコメントが読み上げられたのですが、それが完璧すぎて、自分の挨拶は新海さんの劣化Ver.みたいになってしまいました。

司会:新海さんのは、事前に考えられたコメントですので。

山田:あれには勝てないなと。

司会:監督はこれで29回目の舞台挨拶ですが、今回初めて観に来られたお客さんはいますでしょうか。
(会場から挙手)
山田:結構いらっしゃいますね。毎回半分くらいいらっしゃりますよね、嬉しいです。何でお知りになったんでしょうか。

(客席から):twitterで知りました。

司会:やっぱりtwitterですよ。
皆さん、いっぱい拡散してください(笑)

山田:映画、いつまでやってるんですっけ?

司会:映画は今週末までですが、これからパッケージ化もされますし、そちらもぜひ。

山田:行けなかった地域の方にも観て貰えますね。結局、何館くらいで上映されたんでしょうか?

司会:すぐには出てこないですが、一応全国で上映されたはずです。
さて監督はほぼ1年以上「映画 聲の形」に関わってこられていますが……。

山田:今日でちょうど公開から半年くらいですね。こんなに長く嬉しいです。

司会:今日も来る途中、(舞台挨拶の)思い出話してましたね。

山田:全部一緒にまわりましたね。

司会:大事なところで噛んではいけないので完成披露上映会だけプロを雇いましたが(笑)

山田:早見さんからのお手紙を読み上げている時に噛んだこともありましたよね。

司会:入野さんからの手紙も噛みました。

山田:そんな感じで仲良くやってましたね。

司会:ではここらで本日、初解禁の情報をお知らせしたいと思います。

Blu-ray&DVD | 映画『聲の形』公式サイト

司会:今回はなんと、新規描き下ろしアニメーションが付きます。これはどんなものでしょうか。

山田:aikoさんの「恋をしたのは」、牛尾さんの「speed of youth」にインスパイアされた映像となっています。
具体的には「恋をしたのは」は、硝子と将也の物語で、「speed of youth」は青春っぽく将也とその友達の物語です。

司会:ではほぼ全キャラ出てるんでしょうか?

山田:どうかな?それは観てのお楽しみということで。
おそるおそる、こんなのやってみたいと思っていたけど、出来て嬉しいです。

Blu-ray 初回限定版のジャケットですが、これは白い箱に、透明のケースを差し込む二重構造になっていて、セルが重なった感じでカッコイイです。

将也と波紋は(キャラクターデザインの)西屋さんの描きおろしです。波紋も西屋さんが描いています。水色の色をつけてくれたのは美術監督の篠原さんです。

取材地実景映像「将也の見た景色」は、大垣の映像が収録されていまして、本編とロケ映像をすり合わせてつくりました。

新規音声トラック “inner silence”ですが、Invention no.1とlit(var)を解体再構築して本編全編に収録しています。
バッハのInvention no.1は練習曲でして将也が生きていく練習と重ねています。
当初は、牛尾さんが全編2時間分を弾いてましたが、それを今回、本編に貼り付けました。
(音響監督の)鶴岡さんが、ずっと観てみたいと言ってました。

今回は本編まるまる声と効果音を抜いて “inner silence”を入れています。内側の音、身体の中側の音を再現しています。2時間あるけど、見飽きないです。

司会:今回はDTS Headphone:Xもありますんで音を楽しんで貰えたら。

山田:普通のヘッドホンで大丈夫なんですよね?

司会:オーディオコメンタリーはどうでしょうか?
註:オーディオコメンタリーは下記3種
[山田尚子(監督)×西屋太志(キャラクターデザイン)×石田奈央美(色彩設計)×髙尾一也(撮影監督)]
[早見沙織(西宮硝子 役)×悠木碧(西宮結絃 役)×山田尚子(監督)]
[山田尚子(監督)×牛尾憲輔(音楽)×鶴岡陽太(音響監督)×名倉靖(録音)]

山田:どのセクションの話も面白かったです。
京アニスタッフとも、普段はしない話を出来て楽しかったです。西屋さんや高尾さんはあまり表に出てこないのでお二人の話は貴重ですよ。

早見さんと悠木さんの西宮姉妹のコメンタリーは、お二人本当に仲が良いんだなと思いました。

司会:早見さん、悠木さんのお二人は結局舞台挨拶では一度しか一緒になりませんでしたよね。

山田:収録当日は悠木さんが結絃の髪型で、早見さんが硝子の髪型でした。悠木さんが哲学について語り始めて大変でした(笑)。国交の話とかされて面白かったです。

牛尾さん、鶴岡さん、名倉さんとの音楽の話も面白かったですよ。 鶴岡さんが“inner silence”にめっちゃ惚れてました。
「聲の形」でこんなことさせてくれるポニーキャニオンさん狂ってる(笑)

司会:そんなBlu-rayですが、5/17に発売されます。店舗特典も本日解禁されます。

山田:今日なんですね。

司会:そろそろお時間なんですが、思い残したことはありますか?

山田:音の話なんですが、DTS Headphone:Xの試し音源を牛尾さんが新たにつくってくれました。またメニュー画面用にも牛尾さんの新規音源が追加されています。ポニーキャニオンさんすごい。

司会:あっという間に時間が来てしまいましたが、監督から一言お願いします。

山田:皆さんの応援があったからこそここまで来ることができました。今日、初めて観られた方もパッケージ化した際にはお友達と一緒にまた観て頂けたら嬉しいです。

 映画「聲の形」が第40回日本アカデミー賞優秀アニメーション作品賞を受賞したことを記念した舞台挨拶が新宿ピカデリーで行われました。

 昨年9月17日に上映開始して以来、数々の舞台挨拶がありましたが、新宿ピカデリーでは、昨年10月13日の山田尚子監督と音楽担当の牛尾憲輔さんのスタッフトーク以来の久し振りのイベント、自分は意外にもヒロイン役の早見沙織さんと山田尚子監督のお二人が登壇された舞台挨拶は未経験でしたので新鮮でした。
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日時:2017年2月1日19:10回上映前
会場:新宿ピカデリー
登壇者:山田尚子(監督)、早見沙織
司会:松竹 向井
※敬称略
 今までどおり、ほぼ自分のメモ用にですがトークショーの様子を纏めてみました。一部聴き逃しやメモ間違い微妙なニュアンスの違い等あるかもしれませんが雰囲気だけでも味わって貰えたら幸いです。

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司会:ではまず挨拶をお願い致します。

早見:みなさん、こんばんは。硝子役の早見沙織です。昨年9月公開の映画にも拘らず、またこうして年をまたいで2017年になっても挨拶が出来て嬉しいです。

山田:みなさん、こんばんは。監督を務めた山田尚子と申します。本日ご一緒の早見さんとは若干久し振りです。よろしくお願い致します。

司会:第40回日本アカデミー賞優秀アニメーション作品賞を受賞したということですが……。

早見:おめでとうございます。

山田:おめでとうございます。
(お互い向き合って、「おめでとうございます」を言い合ってました)

早見:実は賞を頂いたという実感があまりなくて……。

山田:賞、頂いているんですよね?

早見:おめでとうございます。

山田:おめでとうございます。
(作品に賞を頂いているということなので観に来ている)みなさんもおめでとうございます。

司会:本日、初めて観に来られた方いらっしゃいますか?
(会場からチラホラと挙手あり)

早見:1番大事なこと聞きましたね。

山田:またもう一回くらい舞台挨拶できたらなって話もあったんで、今回実現して良かったです。

司会:受賞を聞いた瞬間はどんな感じでしたでしょうか?

山田:松竹さんからのメールを会社で読んでもらったのですが、最後まで何が受賞したのか作品名が出てこず、京アニはもう一つ、(早見さんが演じられている小笠原晴香)部長が出てる作品(「響け!ユーフォニアム」)もあって、喜びそびれました。

早見;ひょっとしたらメールのタイトルにあったんじゃないでしょうか。

山田:なんかふわっとした、そんな瞬間でした。

司会:映画「聲の形」の舞台挨拶ですが、今まで28回ありまして、その内早見さんは14回登壇されています。

早見:こんなにも舞台挨拶をした作品はないですねー。京都でも舞台挨拶させて頂いたんですよね。

山田:入野さんも京都に来ていただいて。

早見:大垣でも舞台挨拶されたんですよね。私の祖父が大垣出身なんですよ。大垣の舞台挨拶は行けなかったので、代わりに手紙を読んでもらったのですが司会の向井さんが噛んだという風に聞いています(笑)

司会:監督は28回登壇頂いたのですが……。

山田:北海道からその日の内に九州へ移動したり、手話付きで舞台挨拶させて貰ったりと、いろんなことがありました。

司会:本日、来られなかった入野さんから手紙を預かっています。
「会場にお越しの皆さんありがとうございます、入野です。今回は舞台挨拶に行けずすみません。第40回日本アカデミー賞優秀アニメーション作品賞受賞おめでとうございます。これが本作品を知るきっかけとなれば嬉しいです。」(途中、噛む場所の指定もあり)

山田:大垣は昨年の10月以来ですね。それ以来、入野さんともお会い出来てないんですよ。お元気なんですよね?

早見:元気ですよ。

司会:あらためて「聲の形」の現場を振り返ってみて如何だったでしょうか?

早見:(劇場版なのでTVシリーズとは違って1回だったのですが)1回で録った現場じゃないと思います。収録は1日半から2日あったはずで、その間、まるまる関わった訳じゃないのですが、とても結びつきが強いように感じました。

山田:私もブースに入ったのですが、凄くまとまっている、一致団結して録っているという印象でした。

司会:監督も初めて一緒にお仕事する方が多かったのですよね。

山田:入野さん含めて殆ど初めての方でした。ご一緒したことあるのは、早見さんや植野役の金子さん、ゆきのさつきさんくらいでした。なので皆さんに対してすごくフラットに接することが出来て、皆さんからもフラットに来てくれた。

早見:作品も心にスッとフラットに入ってくる感じですよね、染み入る感じ。

山田:入野さんも行ってましたが、みんなが同じ方向に向いてやったという感じですね。

早見:上映開始から時間経っても、いろんな人に「観たよ」や「これから観る」と変わらずの反応を頂けます。

司会:お二人にとって映画「聲の形」はどんな作品でしょうか?

早見:………(10秒以上の沈黙)これって放送事故でしょうか。
一言で表すのは難しいですが、インタビュー時は、「聲の形」というのは(「こえ」という)目に見えない形を取り扱っている、形にならない形や見てくださる方の形と様々な形がある、それぞれの形が違うのが面白いというお話しをしました。

山田:とても素晴らしい原作でした。人生をかけて製作にあたった、気持ちも乗っているし、製作スタッフとの出会いも素晴らしかった。人生かけた大切な作品です。

司会:ここで初公開情報があります。
(スクリーンにうまく画像が表示されず)
映画「聲の形」のBlu-rayの発売が5月17日に決定しました。公開記念特番のロングVer.や舞台挨拶の映像も収録されています。

早見:オーディオコメンタリーもあるのですね、楽しみです。

司会:このDTS Headphone:Xというのが凄いんですよ。

〜〜〜
ここからマスコミによるフォトセッション。
司会:みなさんどのくらい観られていますか?
10回以上の方……20回以上の方……30回以上の方……40回以上の方、50回以上の方
(セカイ挙手)
司会:ひょっとして100回とか観られてます?
セカイ:66回です。
山田:今日含めてですか……?
セカイ:あ、はい今日含めて66回です
(この辺、山田監督に話しかけられて頭真っ白になって、あんまりやりとり覚えてないです)
〜〜〜

司会:さて、大変残念ですが、そろそろ終わりの時間になってしまいました。

山田:もうちょっとしゃべりたい……。ここで観ながらオーディオコメンタリーをしましょうか(笑)

司会:ラストシーンは鳴き声しか聴こえない(笑)。

早見:初めて観る人にどれだけ迷惑な……(笑)

司会:では最後に挨拶をお願い致します。

早見:冒頭でも話した通り9月に公開開始した映画が2月になってもみんなと共有できているのがすごく嬉しいです。初めての方も何十回目の方も楽しんで下さい。

山田:映画を観た人の希望の光になればと、スタッフ一同、愛を、人生を込めてつくった作品です。大事なものはまだ冷めていません。初めてご覧になる方にも希望の光を灯せればと思います。幸せな時間を過ごして頂けたら幸いです。

 今回のスタッフトークでは、音楽担当の牛尾さんを迎え、山田尚子監督と映画「聲の形」の音楽づくりについてお話しされました。

日時:2016年10月13日16:30回上映終了後
会場:新宿ピカデリー
登壇者:山田尚子(監督)、牛尾憲輔(音楽)
司会:松竹 向井
※敬称略
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 今までどおり、ほぼ自分のメモ用にですがトークショーの様子を纏めてみました。一部聴き逃しやメモ間違い微妙なニュアンスの違い等あるかもしれませんが雰囲気だけでも味わって貰えたら幸いです。

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司会:ではまず挨拶をお願い致します。

牛尾:音楽担当の牛尾憲輔です。よろしくお願い致します。

山田:監督の山田尚子です、よろしくお願い致します。

牛尾:ド平日の日中にすみません。今回、スタッフトークあると知らず、普通に観に来られた方とかいらっしゃいますか?
(客席よりチラホラと手が挙がる)

山田:あ、そうか。舞台挨拶あるって知らない方もいらっしゃるんですね。

牛尾:素敵な映画を観た後で、こんなテンションですみません。もしこの後、用事ある方はこっそりお帰り頂けると傷つかずにすみます。

司会:明るいから(帰ってる人が居たら)分かりますよ。

山田:(牛尾さんは)カッコイイしゃべり方しはりますね。

牛尾:アーティストっぽくね。

司会:まずは牛尾さんに音楽を依頼した経緯について聞いてみたいと思います。

山田:パンフレットの対談でもお話ししていますが、映画「聲の形」をつくるにあたって、頭の中に「agraph」さんの事が浮かびました。
agraphさんというのは牛尾さんの個人ユニット……、でいいんですよね?

牛尾:個人ユニットです、友達いないんで……。

山田:agraphさんの音をつけたら絶対に良いとピンときて、自分の中では「聲の形」=agraphさんでした。
初対面が最悪でしたし、具体的な作家さんを挙げて音楽を発注するのは初めてなので勇気を出しました。

初対面はとあるライブで、共通の友人から牛尾さんを紹介して貰った時に、挨拶(腰を90度に曲げる山田監督の実演入り)して顔をあげたらそこに既に牛尾さんが居なくて、東京のミュージシャン怖いなと思いました。

牛尾:僕も、ここで山田尚子監督に冷たい態度を取られたら、もう作品が観られないということで……。

山田:作品見てくださってると聞いて、怖いけど「聲の形」にはあの方の音楽が欲しいと勇気を出してお願いしました。

司会:2回めにお会いした時はどうでしたか?

山田:いい人でした。

牛尾:面白い人でした。

司会:音楽の発注や、監督の拘ったテーマは何でしょうか?

山田:今回は、お互い作品をどうつくっていくかから話していきました。

牛尾:打ち合わせ後にすぐ「lit」が出来ました。打ち合わせでは、周りのスタッフが?となるような話しばかりしました。「極限」の話(註:パンフレットP18参照)をしてコレだとか。

司会:シーンごとに、ここにはこういう音楽を〜といった形ではなかったんですね。

山田:コンテがあがったところから牛尾さんに送りました。

牛尾:僕も、その時に音楽をつくっていたので、コンテをあえて紙で送って貰いました。

山田:音楽も同時進行で進めていきました。

牛尾:そのコンテを譜面台に立てて、音楽をつくっていきました。

山田:何喋ろうとしたか忘れたんで、何か話してて下さい。

牛尾:無茶振り……。
監督にもレコスタに入ってもらい、仮の映像に音楽をハメていく作業もしました。
具体的な曲のテーマやシーンの発注もなく、音響監督のやるようなこともやりました。

そうだ、この場で糾弾したいことがありました。
小学校の将也のイメージは「ハンバーグ」でという演技指導したと美談にしているでしょう。

山田:何で知ってるんですか?

司会:舞台挨拶で話してますね。

牛尾:あれは、まだ実家で音楽つくってた時に、部屋でラフな格好で音楽つくってたら母親から「ケンちゃん晩ご飯何にする?」って聞かれて「あー、もうハンバーグ」って話をして、それを使われました。ワシの手柄やで。

山田:そうなんですよ、バレてしまった……。
将也をつくったのは牛尾さんです。

牛尾:京都のトークショーでもありましたが、将也の手は僕の手なんですよ。

山田:(キャラクターデザインの)西屋さんが、将也に相応しい、優しい繊細な手を探してて、インターネット上で、ちょうど牛尾さんのライブ映像があがっていて、「この人が音楽担当なのか」「手がキレイだね」と話してて、その後大垣に1週間こもって帰ってきたら、西屋さんの周りに牛尾さんの手がずらっと並んでました。

牛尾:インタビュー写真がバーっと並んでましたよね。
西屋さんにお会いした際に「ほんとキレイですよね」と言われました。

山田:音楽プロデューサーの中村伸一さんも打ち合わせしてる時に「牛尾さんの手キレイですよね」と。
男性をとりこにする手。
その手でピアノ弾くとかズルいですよ。

牛尾:はじめて言われました。
ありがとうございます。

司会:京都でも言ってたんで事実確認になりましたね。

牛尾:音楽では、ピアノの中に居る気がしませんでしたか?
劇場はスピーカーに囲まれてるんで、アプライトピアノの蓋をあけて録音して、それぞれのスピーカーから別々の音が出るように調整しています。
荒く触ったら壊れそうなイメージです。

山田:「聲の形」は将也の物語で、内面にどんどん入ってくようなイメージです。
また硝子の物語でもあるので、体の中で脈打つ鼓動や大きな低音を体中で浴びられたらというイメージです。

牛尾:ちゃんとソリッドに取り込まれてて良かった。

インタビューを受けることって作品を殺す作業で、作品に込めた思いを言葉にすると、それが正解になってしまい、それ以上の意味をもたせられなくなるが、滲んだ、ぼやけた状態でつくれて良かった。

山田:自分も言葉で固定してしまうのが嫌で、一つのものに一つの意味ではなく、周りのものも含めた色んな意味を観て欲しいというのが、自分のフイルムづくりです。

司会:山田監督がラストシーンで悩んでいた際に牛尾さんも悩んでいたそうですが。

山田:会社周りを散歩しながらラストシーンをどうするか悩んでまして、ある時急に、将也が入ってきた瞬間があって、そこに向かって映画をつくっていこうと決めることができました。
一度、京都で牛尾さんと打ち合わせした際に、私が閃いた小さい河原を紹介しました。

牛尾:文化祭での、将也の周りの人の☓が取れたシーンまではかけたが、その後がかけなかった。
河原が凄く良くて、丁度その時は小雨が振っていて、ある人は傘をさし、学生が居てと色んな人が居て、あ、こういう優しい世界があって、もう一度将也に収束していって良いんだなと分かり、将也と同じように泣いてました。
京アニスタッフがよく通る道で、さっき打ち合わせしてた人が、道で泣いてるのを見て、おかしな人だと思われたと思います。

ピアノの雑音も表現しようと、鼻息なんかも入っています。
音響解析を駆使して、ずっと細かい調整をしてノイズを選別していました。
外のコオロギや鈴虫の音も入っていますし、猫の足音も入っています。

山田:「ケンちゃん晩ご飯どうする?」は入っていないの?

牛尾:そこは入っていないです。
これから、もう一度レイトショーでその辺も確認して貰えたら。
おばあちゃんのお葬式のシーンでもノイズが入ってる。

山田:そう、ノイズでリズムをつくっているの良いですよね。

牛尾:最後に不要なノイズが入っていないかチェックした後に、スタッフに「一部ノイズが入っていますが必要な生きたノイズです」とお伝えしたら「全編にノイズ入っていますよ」と返されました。

山田:全身の毛穴から音を感じてますね。

牛尾:レコーディングスタジオで音をつくった後にも、映画館的なスタジオで(各スピーカーからの音を確認しながら)音をつくっていきました。
コンセプトから入って、最後のお疲れ様まで携わりました。
発注された曲を納品してオシマイにはならなかった。

曲をつくっていく上で、山田さんのアイデアが元になったのもありました。
病院で将也が目覚めるシーンのノイズは2人でアイデアを出して、左右(のスピーカー)で音を(将也と硝子に分けるために)変えました。
僕も山田さんもある意味、劇伴の素人だから、素人ならではの発想だと思います。

司会:耳を澄ましてお聴き頂きたいですね。
最後に挨拶をお願いします。

牛尾:平日のお忙しいところありがとうございました。

山田:「聲の形」では音を大事にしたいと思っていたので、牛尾さんにお願い出来て、想像以上に素晴らしい音をつくってもらって、素敵な、純度の高い作品を皆様に届けることが出来て良かったです。
末永くお付き合い頂けたらと思います。
本日はありがとうございました。

 映画「聲の形」上映開始1週間にして早くもスタッフトーク付上映会が開催されました。平日開催のMOVIX京都の上映会には残念ながら参加できませんが、新宿ピカデリー分については行ってきました。

映画「聲の形」スタッフトーク付上映会レポート(登壇者:山田尚子)

日時:2016年9月24日16:20回上映開始前
会場:新宿ピカデリー
登壇者:山田尚子(監督)
司会:松竹 向井
※敬称略
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 今までどおり、ほぼ自分のメモ用にですがトークショーの様子を纏めてみました。一部聴き逃しやメモ間違い微妙なニュアンスの違い等あるかもしれませんが雰囲気だけでも味わって貰えたら幸いです。

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司会:まずは挨拶をお願いします。

山田:皆さん、こんにちは。京都アニメーションの山田尚子です。
今日はよろしくお願い致します。
雨降っていますね。

司会:9月は晴れた日が2日しか無いそうですよ。
9月17日の公開日は晴れてましたね。
恒例のアレを聞いてみましょうか。

山田:どうやって聞いていけば良いんでしたっけ?
今回が2回めの方。
(客席から挙手)
今回が初めての方。
(客席から挙手、後方が多めな印象)
結構いらっしゃいますね、ありがとうございます。ネタバレできませんね。
5回めの方
(客席から挙手、チラホラと)
まさかいらっしゃらないと思いますが10回目の方
(セカイが挙手)
あ、居ますね。

司会:今回は漫画7巻分の原作があって尺を縮めるという作業があったかと思いますが苦労話はありますでしょうか。

山田:そっか!
これ話すとネタバレになっちゃいますね。
頑張りました、としか(笑)
原作の大今吉時さんもシナリオ会議に参加して頂き純度高い「聲の形」が出来ていると思います。

司会:大今先生と初めて会ってお話しした時の印象は。

山田:作品の話やキャラクターについて、熱量を持って話してくれました。
キャラの特徴や立ち位置について、話されている言葉だけがすべての情報では無く、体中の毛穴を開いて全身で感じようと思いました。
最初は2時間くらい話してもらいましたが、終わった後は体中が大今先生でパンパンになり、体から折角の情報がこぼれ落ちないように気をつけました。

お会いする度に、話されてる言葉だけが全てじゃない、作品の真意、本質を間違いなく汲み取って映画にしなければと思いました。

司会:キャスティングについて、入野さんはどうでした?

山田:オーディションだったんですが、一言目で将也とフラットに向き合ってくださる方だなと思いました。
有名な漫画が原作にあるので、キャラを作りこんでしまうかなと危惧していたんですが、そんな印象は無かったです。17歳の石田将也として演じてくれました。

司会:松岡さんは?

山田:好きなんですよねー。
松岡さんの出演されたドラマを毎週観ていて、小学生の将也を誰にするか考えていた時に、その(松岡さんが演じた)役がスッと入ってきました。その時はアニメの吹き替え経験あると知らなかったんですが、どんな風に演じてくれるか期待しました。

司会:入野さんが松岡さんのアフレコを真剣に観ていたそうですね。

山田:二人ともそこまで意識したつもりはなかったと言っていますが、語尾や音形が凄く似ています。当日の二人は髪型まで一緒でフワッフワッな感じで良い邂逅でした。

司会:硝子は早見さんが演じられていますがどうでしたか?

山田:早見さんとは硝子はどんな人間か、思いが強く、生きてく上での強かな面もあり、自身を責めることもある、匂い立つキャラクターで、凄く可愛い子なんで、そういうところも出せたらいいねとお話しました。

司会:硝子だけ別録りしようかという話もあったそうですが?

山田:音響監督の鶴岡さんから早見さんに、そういう話もしてみましたが、みんなで一緒に居ることを選択されました。結果的に、みんなの中に硝子が居る感じが出て良かったと思います。

司会:このキャラに注目というのはありますでしょうか?

山田:結絃と永束君は、繋ぐものという意味があります。そこに注目して貰えたら。

司会:他の舞台挨拶でも永束君は人気でしたよね。

山田:京アニ社内でも人気で、永束君の原画は取り合いになっていました。大ベテランの方が熱望して、やっと2カット描けました。

司会:永束君だけ、ビックフレンド永束バッヂという単独のグッズもありますよね。

山田:あれ、凄くいいですよね。別会場では売り切れてて。

司会:ピカデリーではまだ売っていますよ。

山田:あとで買いに行こう。

司会:「聲の形」では音にも拘ったそうですが。

山田:(耳が聞こえない)西宮硝子は音をどのように解釈しているか、聞こえではなく振動で、低音を受けた時には体が振動し、脈打つ音や鼓動は音なんだろうなと。
(劇伴担当の)牛尾さんにもその辺を汲みとって頂き、劇伴と効果音が絡み合っています。
音響が良い環境、劇場で観て貰えたら。

司会:その劇伴が収録されたサントラも出ていますよね。

山田:私も買いました。

司会:aikoさんの主題歌はどうでしたか?

山田:心を鷲掴みにされた印象に残る歌です。
硝子と将也の気持ちが乗っていると思うと……。
ピアノで始まりピアノで終わるのが、小学校の時に出会った二人の(ピアノの)練習曲みたいです。
大好きです。

司会:あっという間に時間となってしまいましたが……、良い忘れましたが監督は一人での舞台挨拶は今回が初めてでしたね。

山田:先ほどの回は蓮子さんも居てくれましたが、緊張して暑いです、汗かきました。
映画「聲の形」がたくさんのスタッフの愛情を受けて出来上がりました。初めての方も、そうでない方もあわせて楽しんで貰えたら嬉しいです。

 映画「聲の形」上映開始1週間にして早くもスタッフトーク付上映会が開催されました。平日開催のMOVIX京都の上映会には残念ながら参加できませんが、新宿ピカデリー分については行ってきました。

日時:2016年9月24日13:10回上映終了後(字幕付上映)
会場:新宿ピカデリー
登壇者:山田尚子(監督)
司会:松竹 向井
手話:蓮子都
※敬称略
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 今までどおり、ほぼ自分のメモ用にですがトークショーの様子を纏めてみました。一部聴き逃しやメモ間違い微妙なニュアンスの違い等あるかもしれませんが雰囲気だけでも味わって貰えたら幸いです。

山田尚子監督の本日の衣装はこちらをご参考下さい。 

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司会:ではまず挨拶をお願い致します。

山田:(手話にて)
私の名前は山田尚子です。
よろしくお願いいたします。

「聲の形」制作にあたってちょっと手話教室に通っていたことがありまして、楽屋で挨拶の部分を蓮子さんにチェックして貰ってたら「関西弁ですね」と言われました。
手話にも地域差があって面白いですね。

司会:では本日の手話担当の蓮子さんもお願いします。

蓮子:私もですか?
手話あいらんどの蓮子です。
映画「聲の形」にも携わらせて頂きました。よろしくお願い致します。

司会:監督は手話教室に通ったとのことですが、具体的にはどんなことを勉強されましたでしょうか。

山田:「オリンピックですね」とか「来週行われる相撲大会に私は行こうと思います」とか、そんな例題文を手話でしていました。
聴覚障害のある方に教えて貰いました。
手話にも関西弁があって、こちらが標準語ですよ、とかも教えて貰いました。
劇中の「来週から夏休みだろ〜」の手話は関東風です。

司会:アニメ制作時に気をつけたことはありますでしょうか。

山田:手話部分は、まず絵コンテを元に劇団員さんに演技して貰い、皆さんに解説して貰いつつ、それを見ながら京アニスタッフが描き、最後に蓮子さん、南(瑠霞)さん、中嶋(元美)さんの3人に映像をチェックして貰いました。
チェックして貰ってて面白かったのが「来週から夏休みだろ、どっか遊びに……」という真面目なシーンの間に急に「こんにちは」が入ってたり等、手話の部分が全く違う意味になってたりもしました。
手話が正しくても、出すタイミングによって意味が違ったりもして……。
出来る限り修正を重ねました。

司会:山田さんはパンフレットにも「手は花」と書いてありますがキャラクターによって表現を変えたりしましたか?

山田:将也は男性らしい手の表現に気をつけました。
硝子にとっては、手話はまさに言語の全てですので、力を入れたものにしました。
結絃は、小学生男子がヨーヨーをカッコよく扱うように、ヤンチャでかっこいい感じにしています。スラング使う機会があれば使いたかったです。結絃にとって手話は普段から当たり前の表現です。

司会:佐原さんの手話は優しい感じがしますね。

山田:佐原は手話の習得度合いが低いので、単語じゃなくて指文字で会話をするよう取り入れられたらなあと思いました。

おばあちゃんは結局無しですね。

植野は最後に指文字を使っています。
指文字は指で「あいうえお〜」を表したもので、単語が分からない時に使います。
最後のシーン、本当は植野のは「ハカ」なのですが、横にずらすことによって「バカ」になります。そこを硝子が直している内に硝子が植野にバカと言ってしまう、かわいいシーンです。

司会:美術面はどうでしょうか?
前回の舞台挨拶でもありましたが小学生の時と高校の時で空の描き方が違いますよね。

山田:小学生時は生き生きとビビッドな感じにしています。
将也のTシャツの黒の色も濃いです。

高校時代はTシャツの色も気づかない程度に薄く、洗濯によっての劣化が何種類かあります。色指定の方のこだわりです。赤い服と一緒に洗濯して色移りしたというものもあり、遊園地に行った時はこの赤みがかかったものを着ています。

司会:雲は要らないとおっしゃってましたが。

山田:要らないというか極力無くすという方向で進めました。
普段は雲は好きなのですが……。
将也は心が閉じてる状態なので、空まで雲で蓋をされてしまったら、世界まで将也を悩ませたようになってしまいます。
将也が目を覚ました時に、キレイな世界があったと気づけるようにしています。

司会:将也が自転車に乗っているシーンもだんだん上をむいて前向きになっているように感じましたが。

山田:では、そういうことにしておきます(笑)
今回は、登場人物を前向きに観てもらえるように引きのシーンは少なめにしています。

司会:大垣にも行かれたそうですが。

山田:大垣行きました。
湧き水が豊富でキレイなところです。水草が沢山あって、子犬くらいにおおきな鯉も居て。
コンテに行き詰まったら1周間くらい滞在して年末年始は(向井さんとも?)ニアミスしました。

司会:最後に挨拶をお願いします。

山田:無事に「聲の形」完成しました。
今日から字幕上映も始まり、より多くの方に届けられるようになって嬉しいです。
南さん、越智さん、蓮子さんにも手話監修して貰い、心をこめて真心を描いた作品です。楽しんで下さい。

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