映画「聲の形」公開ということで関東・関西でキャストと監督による舞台挨拶が行われました。

 セカイは2014年5月30日の「たまこラブストーリー」スタッフ舞台挨拶以降は、山田尚子監督が公の場で何かお話しされる際は欠かさず参加しレポートを残しているんですが、流石に舞台挨拶の数が多すぎて残念ながらコンプリートが不可能となりました。

参考:過去のレポート一覧
http://htt123.blog.jp/archives/cat_1163745.html
 
日時:2016年9月17日14:40回上映終了後(全国の劇場でライブビューイング実施)
会場:新宿ピカデリー
登壇者:山田尚子(監督)、入野自由、早見沙織、金子有希、石川由依、潘めぐみ、豊永利行、松岡茉優
司会:星野卓也
※敬称略
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 今までどおり、ほぼ自分のメモ用にですが舞台挨拶の様子を纏めてみました。一部聴き逃しやメモ間違い微妙なニュアンスの違い等あるかもしれませんが雰囲気だけでも味わって貰えたら幸いです。

当日の登壇者の衣装などは下記をご参考下さい。 

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司会:ではまず挨拶と、映画「聲の形」公開初日を終えての率直な気持ちをお願い致します。

入野:沢山の方々に来てもらえて嬉しい。

早見:遂に初日を迎えることができて感慨深いです。今日はよろしくお願い致します。

松岡:皆さんの優しい顔がみられて嬉しい。

金子:舞台挨拶も楽しんでいって下さい。

石川:私も漫画原作から好きで、今日を楽しみにしていました。

藩:沢山のお客さんに加えライブビューイングもあって緊張しましたが、皆さんの顔を観て安心しました。

豊永:(本日の格好について)一見チャラい格好ですが、真柴はこういうキャラじゃないというようなコーディネイトになりました。
山田:無事に初日を迎えることができました。よろしくお願い致します。

司会:キャラクターを演じる上で意識したことは何でしょうか。

入野:アフレコ前に監督と、本作品は障害やいじめを題材として扱っていますが、本質は「繋がりたいけど繋がらない」、「伝えたいけど伝えられない」というディスコミュニケーションだというのがテーマだとお話ししましたので、芝居に悩んだ時はこれを拠り所にしました。
あと、監督からは演じる上で「将也は大きな小動物が怯えている感じ」というアドバイスを頂きました。

松岡:あれ、ここ前の会場では大受けだったんですが……。

山田:(舞台挨拶で)受けた受けないって面白いですね。

早見:山田監督と音響監督の鶴岡さんとアフレコ前に、硝子は聖人君子でも天使でもない、地に足の着いた、もがきながら必死で生きている女の子ということを確認しました。

今回登場するキャラクターはどのキャラクターも一人の人間を表している。人間の、見たくない、嫌なところも描かれている。作品で一つの「人間」というものを描いています。

松岡:原作も見ましたが小学生の将也はクソガキで、最初は愛情を持って演じられないと思ったが、山田監督から「将也は純粋無垢なヒーロー」と聞いてから、愛情を持って演じられるようになり、将也を愛おしく感じるようになりました。

山田:愛情を持って演じてもらったのでこの作品ができました。

司会:お気に入りのシーンはどこでしょうか?

金子:全部と言いたいところですが、花火が打ち上げられたシーンは感動し心に残りました。山田監督は(そうは)思っていなかったかもしれませんが、花火の爆発や、モヤモヤとした煙や(散っていく)儚さに人生の全てが入っているような気がしました。

山田:素敵なお答えなので、その通りということにしておきます。

石川:注目したいのは音です。
昨日たまたま、(音にうるさい)スタジオのスタッフが試写会に行ってきて、「色々な音が使われていた、BGM、音で気持ちを持っていくというよりも自然な感じでBGMを使っている」と感心していました。

山田:そのサントラが現在、発売中です。
今回は「音の形」に拘りました。
聴こえるだけじゃない、感じる音、物質の音としても拘っています。
劇場での音ということに拘っています。

藩:橋の上で、それぞれが言葉でぶつかり合うシーンが、川井を演じていて凄く難しかったが、包み隠さないことが出てきた。新たな彼女が生まれました。

山田:川井は「生まれながらのシスター」です。そうでないシスターだったら、例えばスカートの裾が捲れていたらシスターらしくないと直してしまいますが、「生まれながらのシスター」は、裾を無くさなくてもシスターらしさを失わないんです。
川井は心がキレイで素直な子です。

藩:心の裏表がないですよね。

山田:そこが魅力的です。

豊永:見どころはいっぱい有りますが、手話を覚えたいと思いました。
なるほどと思ったのは、花火のシーン手前の飲み物の中に波紋が広がるシーンです。初めて気づいた時は衝撃を受けました。
細かいところですが、そこが感動しました。

山田:硝子が体中で花火の振動を受けているシーンですので、気づいてもらえて嬉しいです。

豊永:音にあふれていますね。

山田:音は物質なんで。
真柴も良かったですよね。最後の一言の成長が凄い。最初に戻ってきた。

司会:制作時に拘ったところは。

山田:音に対する解釈、読み解きです。
将也を包む世界(将也にとっては死角の世界)の美しさ、将也と一緒に世界を悩ませないように気をつけました。

司会:監督は昨日、AIKOさんに会ったそうですね。

山田:昨日がライブで「恋をしたのは」初披露ということでしたので呼んでもらいました。
AIKOさんは凄い熱量で「聲の形」が大好きということが伝わってきました。会う前もラフを見てもらったりしてました。

司会:最後に挨拶をお願いします。

早見:「聲の形」初日にお越しいただきありがとうございます。
この作品には、声にならない声がいっぱい詰まっています。自分の中にある、形になっていない思い、そういうものに気づいて貰えたらと思います。

入野:真っ直ぐに痛いところ、苦しみ、楽しみを嘘ではなく正直に描いているところが作品の魅力ですが、根っこにある、伝えたい、繋がりたいという想いを詰め込みました。

山田:まっすぐな心を描いた作品です。きっと何度でも観てもらえる強度のある作品になったと思います。明日に繋がる作品になっているかと思います。