9月17日(土)からの映画「聲の形」公開を記念して、MOVIX京都で「たまこまーけっと」セレクション上映 が行われました。
 「たまこまーけっと」は1、2、9、11、12話の5話が上映され、終了後にはスタッフによる舞台挨拶が行われました。

映画『聲の形』公開記念京都アニメーション特集上映 開催決定!

日時:2016年9月2日19:00〜
会場:MOVIX京都 シアター11
登壇者:山田尚子監督、西屋太志(作画監督)、小川太一(演出)
司会:瀬波里梨
※以下敬称略

 今までどおり、ほぼ自分のメモ用にですが舞台挨拶の様子を纏めてみました。一部聴き逃しやメモ間違い微妙なニュアンスの違い等あるかもしれませんが雰囲気だけでも味わって貰えたら幸いです。

 当日、山田尚子監督は、豆大福をイメージしたTシャツ(白地に黒いハートが散りばめられている)に赤いスカート、髪は珍しくポニーテールにしていました。可愛い……。

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瀬波:「たまこまーけっと」でのトークショーは久しぶりですが、どんな気持ちでしょうか?

山田:(「たまこラブストーリー」ではなく)「たまこまーけっと」を劇場の大画面で観られるのが最高です。

怖いけど聞いてみていいですか? 本日、「たまこまーけっと」観るのが初めての方いらっしゃいますでしょうか?

(会場より1名挙手)

山田:「Free!」のファンの方でしょうか? 西屋さんを見に来られたのでしょうか?(笑)
今日の会場(MOVIX京都 シアター11)がちょうどスタジオアルタと同じくらいらしいので、いいとも!みたいに(1名を目指して)聞いてみようかなと思いました。小川さんどうぞ。

小川:自虐だけど、僕を観に来られた方

(会場より1名挙手)

小川:ありがとうございます。

山田:西屋さんもどうぞ。

西屋:後にします。

山田:西屋さんも聞かなくていいんですか。

西屋:先ほど既に1名挙手して下さった方がいるので。

瀬波:これから「たまこまーけっと」を振り返るにあたり、会場は暖まったでしょうか?
では、初心に帰って、企画時の話から進めていきましょうか。
発端までいくとかなり遡りますよね?

山田:「けいおん!」1期のあと、堀口悠紀子さんと一緒に偉い人に呼び出されて、目の前のコーヒーの味も分からないくらい緊張した記憶があります。

瀬波:「けいおん!」1期の後だと2009年から2010年の頃でしょうか。

小川:「けいおん!」つくってた時じゃなかったですっけ?

山田:そんなに前でしたっけ? (そもそも)小川さんは「けいおん!」やってましたっけ?

小川:やってましたよ。

山田:あー、そうでした。(小川さんは)後輩だからどうだったかなと。
「映画けいおん!」の「U&I」演奏時の唯の原画とかが小川さんでしたよね。
西屋さんには、手伝ってもらえると聞いた時に、難しいカットをお願いした気がします(笑)。律っちゃんのドラムとか、先生を教室に引き込むカットとか。
そんな事をしている最中に(「たまこまーけっと」の)企画が始まったと思います。

石原立也さんに京都を舞台にした家族モノをやってみたらと提案されました。

タイトルが「たまこまーけっと」に決まるまでにも色々あって、当初は「オモチナ」や「夜香王子にぶぶ漬けを」とか(笑)

瀬波:王子が前面に出ていますね。南の島の要素はどのように考えていたのでしょうか?

山田:たまこと王子で「ローマの休日」みたいなことをできたらと、石原さんと堀口さんと考えてました。
人と人とが「おはよう」を言えるような作品を目指しました。

瀬波:最初から商店街が舞台でしたよね。
(西屋さんと小川さんのお二人が)最初に「たまこまーけっと」をつくると知ったのはいつでしょうか?

小川:「中二病でも恋がしたい!」の絵コンテを描いてた時かな。「氷菓」だったか……。

山田:小川さんは3・10話の絵コンテ・演出されてますよね。キャラ話回。

小川:絵コンテ描いたのは4本目でした。

瀬波:「たまこまーけっと」演出の際、当時を思い出しての拘りや苦労は?

小川:慣れていないこともあって、カット数が多くなってしまいがちで、それを如何に抑えるか苦労しました。最初に手がけた絵コンテがえらいカット数があって……。

山田:大型新人が出たぞ(笑)

瀬波:西屋さんは今回上映した5話の内、2話の作監をされていましたよね。

西屋:たまこは、山田さんの商店街モノということですごくやりたかった。

山田:2話は三好(一郎)さんの演出で「フレンチポップ」を合言葉にやっていこうと思い、話数毎の会合の際に「フレンチポップを合言葉に進めたいと思います」って言ったら三好さんから「聞いてないー」と(笑)

小川:最近は新しい言葉が社内を飛び交ってて「ソリッド」とか「エモい」とか。
原画さんにフィーリングが伝わらず、よりニュアンスに近い言葉を(師匠にあたる)石立太一さんがつくる。「そこに『ソワカ』はあるか?」とか。

石立さんとの談義で「『ソワカ』が足りないんだよね」とか使います。
「聲の形」の制作現場で山田さんに「ソワカ」を使ってみました。

山田:「ソワカ」は調べてみたら「幸あれ」って意味で「消し飛べ!」とか怖い意味じゃなくて良かった。

瀬波:今回のセレクションで1、2、9、11、12話の5話を選んだのは?

山田:最初は「ラブストーリー」ぽいのを選んでいましたが、5話上映できるということで「まーけっと」を選びました。「まーけっと」はたまことデラちゃんの出会いと別れです。

瀬波:4話だったら「ラブストーリー」の1、2、5、9話を選んでましたよね。

山田:ビールを飲みご飯を食べながら「まーけっと」を観ると凄くいいですよ。

瀬波:西屋さんは全話観られてます?

山田:観てますよ。観ていないとここに来られないですよ(笑)。

瀬波:では「たまこまーけっと」から「たまこラブストーリー」に至った経緯を3人に伺いたいと思います。って台本に書いてますが……。

山田:西屋さん居なかったですよね。

西屋:その時は「Free!」をしていました。

山田:「たまこラブストーリー」制作時は小川さんが「俺がもち蔵だ」「生きるもち蔵だ」とか言ってました(笑)

瀬波:西屋さんは「たまこラブストーリー」観られました?

西屋:良かったですよ。こないだパッケージを買いました。

山田:(「聲の形」制作中なので)席が西屋さんの隣なんですが、こないだ「買ったよ」と報告がありました。

瀬波:「たまこラブストーリー」の後のお話しは考えていますか?

山田:妄想はずっとしてますよ。みどりが何処の大学に行くかとか、かなり具体的に。
かんなは美大の建築家にいくとか、凄い考えてますよ。

たまこは(もち蔵に会いに)東京にたまに遊びに行くんですが、もち蔵は東京に出ておしゃれになるんだけど、たまこは変わらずで、そこが恥ずかしいんだけど、もち蔵はそんなたまこが好き。

瀬波:妄想の余地があって話が広がりますね。

小川:ムギちゃんの話は?

山田:たまこがたまやで店番をしていたら、ひょこっとあの太い眉毛が見えて、ムギちゃんがたまやを覗いてるんですよ。いつもケーキとか洋菓子なんで和菓子にも挑戦したくて、買って食べたら美味しくて、次の日には(HTTの)5人を連れてくる。

瀬波:貴重な話ですね。
本日の登壇者3人は「聲の形」メインスタッフでもあるのですが、制作を終えてどうですか?

西屋:感無量です、やりきった感があります。

小川:学ぶことが多かったです。手話は少しの違いで意味が変わる。

瀬波:おすすめポイントは?

小川:マリア(将也の姪)がかわいいです。

西屋:将也を捉えるのに時間がかかりました。(キービジュアルの)この絵にたどり着くにも時間がかかりました。

山田:キービジュアルで硝子が正面を向いているのは、天使じゃない、人間ですということです。ダイナミックなところもあります。
「聲の形」は京アニとしては、TVシリーズ無しでいきなり映画から話がスタートし緊張しました。原作がしっかりとあり、難しいところがいっぱいあった。京アニとDoで取り組む仕事がかっこ良かった。

瀬波:前売り券はここの劇場でも発売中ですので、良かったらぜひ。
最後に一言ずつお願いします。

小川:たまこで呼ばれて沢山のお客さんに来ていただいて嬉しいです、ありがとうございます。

西屋:何年も経つのに末永く愛してもらえて嬉しいです。ありがとうございます。
「聲の形」は京アニとしてひとつ上に上がることができた作品ですので、よろしくおねがいします。

山田:たまこをまた観てもらえて嬉しいです。たまこは大事な作品です。ありがとうございました。